結成[乱舞Lv.制限なし]

結成

 結成画面で聞けるボイスについて書いてみます。この記事では乱舞Lv.制限のないボイスのみ。

結成[隊員] ああ、ご主人様の命とあらば!
結成[隊長] ぼくを信用してくれるんだね。嬉しいな
刀装装備 ああ、すぐに付けるよ
ご主人様の命令とあらば!
装備っていうのは…ある意味拘束だよね

結成[隊員]

ああ、ご主人様の命とあらば!

 顕現・刀帳の記事で「初対面時の亀甲貞宗審神者をご主人様とは呼ばない」と話しましたが、結成ではさくっとご主人様呼びが登場します。声音も嬉しそうで、審神者に選ばれたことを喜ぶ様子が目に浮かぶようです。

結成[隊長]

ぼくを信用してくれるんだね。嬉しいな

 さらに、隊長に任命するとそれを審神者からの「信用」の表れと受け止め、喜び、言葉としても口にします。
 隊長任命に対する反応は刀剣男士によって様々で、なかには戸惑う者や尻込みする者もいますが、亀甲貞宗にそのような様子は見受けられません。亀甲貞宗にとって隊長として部隊を率いるのは特に負担ではないようです。

 隊長に任じられたことに対するこの反応は、自らの能力に対して自信があるためとも取れますし、ご主人様以外のことが視界に入っていないため隊員に指示を出す立場であることの責任を正しく認識できていないためとも取れます。
 いずれにしろ、自らが率いることになる他の刀剣男士の方は向いていないせりふですね。

刀装装備

ああ、すぐに付けるよ

 素直ですね。「すぐに」を強調して言っているところに、ご主人様に命令を下されたことへの嬉しさが表れているように思います。

ご主人様の命令とあらば!

 隊員に任じられた時とほぼ同じせりふです。ただ、隊員任命の時は「命」だったのがこちらでは「命令」になっています。
 これは個人的な言葉に対するニュアンスの認識ですが、「命」は戦闘員として受ける指令らしさ、「命令」はご主人様から下される指示らしさがある気がします。
 顕現から今に至るまで亀甲貞宗は普通の刀剣男士らしく振る舞って来ていますが、ここで少しクセが出てきたようです。

装備っていうのは…ある意味拘束だよね

 意味がわかんないですね!
 装備がなぜ「ある意味拘束」なのか私としてはまっさらまったくわからないのですが、本人がそう言うなら本人にとってはそうなのでしょう。当然ながら審神者は刀装を拘束具として与えてるつもりはないと思うんですが、審神者の言動を勝手に自分にとって良いように受け取る亀甲貞宗の暴走癖の萌芽がここで見えます。かわいいですね。
 後々真剣必殺を確認するとこのせりふの意味が“物理”の話で(も)あると明らかになるわけで、その構造を面白いなぁと思います。

まとめ

 顕現や刀帳では見えてこなかったマゾヒストとしての亀甲貞宗の気配が滲み始める刀装装備ボイスが印象的です。また、隊長に任じられても特に臆する様子のないところから、自分の能力に不安を感じたりするタイプでもなさそうなことが窺えます。

 顕現時点では伏せられていた亀甲貞宗マゾヒズムが出陣準備の段になってあらわになり始めるのは、刀剣男士の本能として戦いを前に高揚が生まれ、気持ちが素直になっていることの表れなのかなと思っています。
 普段は自分のマゾヒズムを抑制する気があるということでもあるので、偉いですね。

顕現・刀帳

顕現

ぼくは亀甲貞宗。名前の由来? ……ふふっ。ご想像にお任せしようか

 ゲーム内での初対面ですね。公式アカウントでの紹介も貼っておきます。

相州貞宗の作で、無銘の打刀。茎に亀甲菊花文の彫物があることからこの名がついたとされる。気品薫る貞宗の風格。白菊のごとき美青年。そして極まる、ご主人様至上主義。

 さて、様々な刀剣男士の顕現ボイスを聞いていると、どうやら彼らは顕現した時点で審神者を既に自らの主として認識しているようです。顕現ボイスで審神者のことを「新しい主」と呼ぶ刀もいますね。

 しかしながら、実装前から「ご主人様至上主義」と紹介される亀甲貞宗は顕現時点では審神者のことを「ご主人様」とは呼びません。

 しかも、亀甲貞宗の名の由来を尋ねたのであろう審神者に対して含みのある笑いを返した上で「ご想像にお任せしようか」と答えをはぐらかします。
「ご主人様“至上”主義」との紹介に矛盾する、審神者をからかうような、手玉に取るような返答だなと感じられます。

刀帳

 新しい刀剣男士を迎えた時まず何をするかは各本丸ごとに違いがあろうと思うのですが、弊本丸ではまず刀帳を見に行くのでこの記事でも顕現ボイスと合わせて刀帳の内容を見ていきますね。

ぼくは亀甲貞宗徳川将軍家に伝わる刀だよ。今の名前は、亀甲紋が彫られていることから付いたんだ

名前の由来

 顕現ボイスにて、はぐらかすように、あるいは主の気を引くように受け流して答えなかった名の由来を、刀帳では「(茎に)亀甲紋が彫られていることから付いた」とあっさりと教えてくれます。特に名前の由来を隠したくてはぐらかしたわけではないようです。

 自らの名前の由来に含みを持つ刀剣男士は何振りかいて、歌仙兼定へし切長谷部、燭台切光忠、にっかり青江あたりがぱっと浮かびます。
 こういった刀剣男士は刀帳でその含みについて語ってくれることが多いですが、亀甲貞宗はただ説明するだけでその由来に特に思うところはないように見えます。
 また、由来にまつわる屈託の有無に限らず刀帳にて名の由来について語ってくれる刀は多い印象ですが、亀甲貞宗の説明は比較的あっさりしている印象です。

元の主について

 刀帳では自らのかつての主の中でも著名な人物(つまり人がその刀のイメージを形作りにあたって大きな部分を占めやすい人物、ひいては刀剣男士のひととなりの核となりやすい部分)について語ることも多いですが、亀甲貞宗はこちらについても「徳川将軍家に伝わる刀」と単に事実を述べるだけで、思い入れであるとか逸話であるとかは話しません。

 気になるのは、自分の元の所有者について「徳川将軍家」という集合体についてだけ述べて、個人については語らないことです。
 史実では刀 亀甲貞宗徳川将軍家に渡ったのは徳川綱吉の代であり亀甲貞宗が言及するとしたら綱吉についてと思われますが、彼が話すのはあくまでも“家”という集合体であって綱吉の名前は挙がりません。

解釈

 ここからは「ご主人様」という語にどんなイメージを抱くかの個人的価値観にもよる話ですが、私は集合体には使いづらい語だと思っています。個が従属するのはあくまでも個であるというのが私の価値観です。
 個の集合体を主としてしまうと、構成要素のそれぞれから異なる命令が出されたときにいずれかの命令に従うことができなくなってしまい、そして命令に従えない者に誰かを「ご主人様」と呼ぶ資格はないと思うんですね。

 ここで、「亀甲貞宗にとって徳川将軍家は“元の主”だったのか」との疑問が生まれます。それは「亀甲貞宗にとって“ご主人様”とは何なのか」との疑問だとも言えます。「何なのか」とは、「亀甲貞宗は何をもって相手を自らの“ご主人様”と認識するのか」という話です。

 刀剣男士にとっては審神者はイコールで主であるわけですが、SMがモチーフになっている亀甲貞宗にとっての「ご主人様」とは「自らを戦力として従え戦う人間」という刀剣男士としての定義以外にも何かしらの意味を持つと考えています。
 でなければ“至上主義”という誇大な紹介がされる理由も、“至上主義”であるわりに審神者を敬ったり審神者にかしずいたりする様子が見えないことにも理由がつきません。
 この疑問については修行で送られてくる手紙で一旦の回答を出すことができますが、この時点での私の仮説は「亀甲貞宗にとってご主人様とは自らを“所有”するだけではなく“使う”者なのではないか」です。

 亀甲貞宗は性質としてマゾヒストで、同時に刀剣男士としての本能も持ち合わせているはずなわけですが、「使われない物」の無益さ、虚しさを刀剣男士の物としての本能として持っているなら、ただ所有するの者を亀甲貞宗は「ご主人様」とは認識しないのではないか、という仮説です。
 そう仮定すると、顕現した時点で亀甲貞宗審神者をご主人様とは呼ばないことにも一応の説明がつきます。

 また、刀 亀甲貞宗の歴史を調べると、所有者の記録はあっても使用された記録はないようです。へし切長谷部や燭台切光忠のような逸話を持たない刀である、ということです。
 もし亀甲貞宗にとってご主人様と呼び得るのは自らを使う者であるとするなら、ただ所有するだけで使わなかった徳川綱吉、そしてその後の歴代の徳川将軍家の主たちはご主人様には当たらないということになります。

 この疑問と仮説については今後継続して考えていくことになります。

自己紹介しないこと

 最後に、公式アカウントでは言及があるのに亀甲貞宗自らは触れない点について考えてみます。

相州貞宗の作で、無銘の打刀。

 この部分ですね。
 自らを作った刀工について語る刀剣男士は一定数いますが、亀甲貞宗は一切言及しません。
 また、無銘であることはどうやら刀にとって一種のコンプレックスの一因となり得るようで、そのことは物吉貞宗の「無銘のボクですが(中略)大事にしていただきました!」や大倶利伽羅の「それ以上は特に語ることはないな。何せ、無銘刀なものでね」などの刀帳から窺えますが、亀甲貞宗は自らが無銘刀であることにも言及しません。

 無銘であることが刀剣男士にとってコンプレックスの一因となり得るのは人間に「無銘の刀剣は在銘の刀剣より劣るものである」という誤認識が広まっている故と思われますが、亀甲貞宗にはそのようなコンプレックスは無いように感じられます。

まとめ

 全体として、審神者に会ったばかりの亀甲貞宗は言葉が少なめです。敬語を使わないフランクさがあり、むしろ審神者をからかうような様子もあります。少なくとも敬ったり、かしずいたりするような物腰ではありません。

 また、以下の疑問点があることを改めて書いておきます。

【疑問】亀甲貞宗は何をもって相手を自らの“ご主人様”と認識するのか